令和3年度 市民活動応援講座 「NPOの世代交代 -継承とモデルチェンジと-」開催報告(2/23実施)
2022.3.10

NPO法人や市民活動団体の高齢化が進んでいる今、世代交代と後継者育成が大きな課題となっています。

NPO法施行後20数年を経て、NPO法人代表者の高齢化が進むとともに、後継者不足は喫緊の課題で、

内閣府の調査結果(2018年)では、「代表者が65歳以上であるNPO法人」が全体の58.7%、

「代表者を交代することを想定しているNPO法人」が全体の80.1%という結果が出ています。

「特定非営利活動法人における世代交代とサービスの継続性への影響に関する調査(概要)」(2019年3月)

https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/sonota-chousa/2019research-impact-on-generational-change

 

そのような中、カリスマ的初代理事長からバトンを受け、2016年に特定非営利活動法人NPOフュージョン長池(http://home.pompoco.or.jp/)の理事長に就任された田所氏を講師に迎え、お話しを伺いました。

 

実施日:令和4年2月23日(水・祝)13:30~15:30

参加者:市民活動団体6団体7名、個人1名 計8名

 

 

現在のNPOフュージョン長池の理事11名は、若い世代が多く(20~40代8名、50代以上3名)、

2016年以降の各賞は第一世代から引き継いだ現在の世代が受賞しています。

 

田所さんたちは、組織運営の安定性や透明性、継続性を整え、

2020年には、第三者評価機関(※注1)からグッドガバナンス認証団体として認証を受けます。

全国では43団体、東京都では12団体、八王子では講師の団体だけだそうです。

(※注1:非営利評価組織センターhttps://jcne.or.jp/evaluation/good_governance/

 

生きがい就労制度は公園管理の部門で、定年退職した世代20名程が活動をしています。

会社員時代に培ったスキルや知識を若いスタッフに伝えることがスタッフの人材育成にもつながり、

60~80代の彼らの居場所にもなっていると話す田所さん。

フュージョンでは多様なボランティア制度があり、

現在取り組んでいるパークキッズレンジャープロジェクトには子どもだけでなく親も参加し

、3家族が運営スタッフとして関わるようになり、若い世代の参画が増えてきました。

 

前理事長は、活動して2年とたたない田所さんをなぜ理事長に指名したのでしょう。

 

田所さんは、3つの理由をあげました。

「中間支援団体ということもあり、偏りのないフラットな人間、何も知らない強さ、と言われたような気がします。」

 

 

前理事長は、引き継ぐにあたり候補と考えている田所さんら若者たちをどうだろうかと仲間たちに丁寧に聴きました。

そして、皆が納得する中で理事会を設け、仲間全員の同意を経て、田所さんを理事長に任命したとのこと。

また同時に同じ頃に入った20代の若者が副理事長に就任したそうです。

 

「理事長も役割の一つであるので気負うこともない。」

前理事長が田所さんに伝えた言葉の一つです。

 

引き継ぐまでは、3カ月ほどつきっきりで毎日の業務の後に理事長と面談したとのこと。

その時はとてもハードだったと当時を振り返って苦笑する田所さん。

周りに育ててもらったし、その時間があるから今があるとおっしゃいました。

 

田所さんが引き継いだものは、前理事長からのネットワーク、「残された豊かな環境を未来へつなぐ」というコンセプト、「楽しくなければ意味がない・続かない」という思いでした。

 

「大事にしていることは、組織のための個人ではなく、個人のための組織である。

やりたくないことは、才能や個性から、よりよく出来る人が補完する。

一緒に活動している人たちを見ることが大切で、寄り添う意識を持って、放任までいかなくても、事業担当者に任せる。

目的の達成方法は一つではない、みんなで支えることが出来るし、広げられる。」と力強く話されました。

 

【継承のポイント】

・みんなが納得する場で決定していく。

・一番近くでサポートする人は誰なのか。

・自分の分身を探さない。求めない。

・承継する側も本気であるか。

・団体の在り方は承継し、やり方は承継しない。

 

 

講師の田所さんとは、できるだけ参加者の皆さんと顔を合わせながらディスカッションしたい、という希望もあり、

リアル開催を目指していましたが、コロナ感染症拡大防止のため急遽オンライン方式に切り替えました。

県外からの参加者も集まり、講師にはそれぞれの質問に丁寧にご回答いただきました。

遠くない未来に団体を引き継ごうと考える方や団体のことを深く思う方々が参加した満足度の高い講座となりました。

 

 

【参加者から】

・若い世代に代表を任せ、顧問として、なるべく静観していましたが、気になっていることがクリアーになった気がした。

・ NPO法人の基本的組織の構図や事業内容の例を理解できました。

・承継の課題は全国的なものなのだと知った。経験やアドバイスを参考にさせていただきながら、自団体の改革に取り組む。

・理事長の高齢化に伴う、NPO法人を継続していく難しさ(後継者探しや組織の在り方)を初めて知った。

・世代交代の成功例として現在の団体が運営できていることが理解できた。良き人材を見つけ出すための準備や方法をもっと知りたかった。

 

 

2022年3月10日記