令和7年度 第4回支援者間交流会 「~つながりの貧困を解消するために~ 自立生活支援の現状から学ぶ」 開催報告(2025/12/10実施)
2025.12.26

第4回支援者間交流会

「~つながりの貧困を解消するために~ 自立生活支援の現状から学ぶ」

 

日時:2025年12月10日(水) 13:30~16:00

場所:ひらつか市民活動センター 会議室AB

参加者:NPO団体、相談支援機関、支援事業所、地域包括支援センター、介護事業所、

地域の福祉関係者、ボランティアグループ等     計36名

講師:認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい 理事長 大西 連 氏

主催:ひらつか市民活動センター/平塚市社会福祉協議会

 

2024年6月にスタートした支援者間交流会、今回は第4回目の開催となりました。

本人・世帯の属性に関わらず、どんな複雑な問題でもまるごと受け止め、多機関と連携して支援していく必要性と方法を一緒に考える交流会を企画開催しています。

今回は講師に認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長の大西 連 氏をお迎えし、自立生活支援の現場・その現状から“つながりの貧困を解消する”ためのヒントを参加者の皆さんと一緒に考えていきました。

 

1.講義 (60分)

講師:認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい 理事長 大西 連 氏

  

  

講師の大西さんは認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやいの理事長としてご活躍中です。

〈もやい〉は、2001年の設立以来、「日本の貧困問題を社会的に解決する」というミッションのもと、
都内を中心に活動を展開しています。

認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい HP

 

講義では〈もやい〉の活動を通じて、自立生活支援についての実践と事例紹介をしていただきました。

 

<大西さんが講義の中でお話された事>

1.貧困とは?

2.<もやい>が大事にしていること、目指していること

3.制度や政策の対象にはならない人たちを、誰が支えるのか?

4.支援におけるゴールとは?

 

 

1⃣. 貧困とは?

「貧困」には2種類があり、

① “経済的貧困”

② “つながりの貧困”が存在していると考えています。

 

<もやい>の「経済的困窮」と「孤独・孤立」への対応は

①は、生活相談支援事業(相談支援)と入居支援事業(住居への支援)

②は、交流事業(居場所や社会参加)

を基に、現場からの社会的な発信や提言(広報啓発事業)を行うことで課題解決に向けて活動しています。

 

2⃣.<もやい>が大事にしていること、目指していること

★<もやい>が大事にしていることは、

もやいの活動は、当事者運動ではないが支援者運動でもない、サービスをつくって提供するではない

→一緒に考え、作り上げる、声をひろってかたちにしていく

⇒ともに動く、社会を動かしていく

 

★<もやい>が目指していること

①権利の回復 (生活基盤の再建、住居の確保)

②当事者のエンパワーメント (ピアサポート)

③控除の拡充 (排除が生まれない社会環境の整備)

 

⇒<もやい>の活動は、市民性のある社会運動である、ということです。

 

3⃣.事例紹介における問題提起

もやいの活動においての事例紹介とともに、活動のポイントになる大切な点をお話しいただきました。

タッチポイントが政策・程度的にないケースが多数存在するということです。

“制度や政策の対象にならない人たちを誰が支えるのか?”

“制度の手前の不安を私達(社会)がどう受け止めているか?”

経済的困窮(失業、ワーキングプア、低年金・無年金、健康状態の悪化)は、社会保障による給付やサービス提供で解決に向かうことができますが、つながりの貧困である孤独・孤立は既存の社会保障の給付やサービスでカバーされていません。

もやいの活動の1つに新宿の東京都庁前で食料品配布を行う支援活動を行っていますが、コロナ禍以降食料品配布に訪れる人は現在進行形で増加しています。

 

4⃣.支援における「ゴール」とは?

支援すること、生活基盤(進学・就労・収入の安定)、生活の維持(入院・通院・介護保険事業の利用)、つなぎ(福祉事業・NPO・民生委員)に“つなぐ”ことが支援者のゴールなのでしょうか?

支援を終えること、支援後に支援者を手放すことが、ゴールなのでしょうか?

支援を終えた後、誰が、どのようにつながり続けるのでしょうか?

私達の社会がどのようにありたいか。サービスの提供にとどまらず人と人が関われるように関係構築をして、つながり続けることが必要で、もやいの活動では、ひとりでなく社会で支え合うことを政策提言と

して行っています。

 

2.グループワーク (30分)

参加者は5~6名程度にテーブル毎のグループに分かれて、大西さんの講義の感想や、参加者ご自身の活動での悩みや課題の共有を行いました。

講師の大西さんへの質問はポストイットに記入していただき、質問内容のカテゴリー分けを行いました。

 

3.対談 (40分)

参加者の皆さんから寄せられた講師の大西さんへの質問を、ひらつか市民活動センター長の坂田がコーディネーターとなり、対談形式で進めていきました。

 

4.ふりかえりとまとめ (10分)

平塚市社会福祉協議会コミュニティソーシャルワーカーの内田さんに会の振り返りをしていただき、

第4回の支援者間交流会を閉会しました。

閉会後は参加者の皆さん同士でお互いの活動についての話をしたり、名刺交換をしたりと交流の時間となりました。

 

講師の大西さん、<もやい>の活動についてのお話や、自立生活支援の現状と政策提言に向けての貴重なお話をいただきありがとうございました。

 

 

4.アンケート結果について

アンケート回収状況
20件/36人参加中    (回収率 55%)

① あなたの所属分野は何ですか。

● 障がい者分野5
● 高齢者分野 3
● 子ども分野 4
● 医療分野 1
● その他 7

 

② 相談業務に携わって何年になりますか。
● 1年未満 0
● 1年以上3年未満 0
● 3年以上5年未満 4
● 5年以上10年未満 3
● 10年以上 7
● 相談業務はしていない 6

③ 本日の講義はいかがでしたか。
● 大変良かった 16
● 良かった 3
● ふつう 1
● 良くなかった 0

④ 本日の講義は今後の業務に活かせますか。
● 非常に活かせると思う 10
● 活かせると思う 9
● 活かせないとおもう 1

 

⑤ 本日の研修を受講して、新たに学んだこと、気づいたことを教えてください。(アンケートコメントより一部抜粋)

 

・困窮状態とは何を指すか、改めて考える機会となりました。

・痛快なお話でした。支援におけるゴールや社会で支え合うためには?という大きな課題ですが、今日出会った方をはじめとにかく話しつづけ完成のヒントをみつけたい。連携していきたい。

・当事者の「望み」を基本に支援に向き合います。「雑談から得ることが多い」

・関係交流の方法を学ぶことができました。 また自分自身の考えを整理することができました。ありがとうございました。

・つながりをもつことは雑談から始まると聞き、改めて自分の仕事スタイルの再確認ができた

・社会の中で“貧困”と認められていない貧困があること、その方たちを見つけようとする心のアンテナを張ること、自分がキーパーソンになれば良い その言葉が響きました。

 

⑥ その他気づいたことや感想をお書きください。

・ 他団体の方と知り合いになれたことも心強く感じました

・ 大西さんのお話が聞けて本当に良かったです。ゆっくりふり返りをします。

・他職種の方と話す機会ができて楽しかったです。

 

(アンケートコメントより一部抜粋)

 

本日ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

次回、支援者間交流会の開催等は詳細が決まり次第、センターHP等でお伝えいたします。

是非ご参加ください。たくさんの方々のお越しをお待ちしています♪

 

2025.12.26  センタースタッフ記