平塚市職員とともに学ぶ!NPOと行政の協働開催報告(11/16実施)
2023.12.18

開催日時:2023年11月16日(木) 9:30~11:30
場所:平塚市教育会館 3階大ホール
参加者:
NPO/市民活動団体:17名
平塚市職員:19名
講師・事務局:7名  計43名

 

協働に興味・関心のある市民活動団体やNPO法人と平塚市の職員が一堂に会し、協働を進める上で重要な「対話とコミュニケーション」についてワークショップを通して学びます。

講師にはモジョコンサルティング合同会社代表の長浜洋二さんをお迎えしました。

【講義:組織の成功循環モデル】
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する「組織が成果を上げ、成功に向かう仕組み」についてお話しがありました。

成功循環モデルにはグッドサイクル(好循環)バッドサイクル(悪循環)があるそうです。

それぞれ、「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」から成り立ちますが、起点が異なります。

グッドサイクルは「関係の質」を高めるところから始め、メンバーの理解を深めることで一緒に考えることができ、「思考の質」が高まります。それによって「行動の質」、「結果の質」が上がり、更に「関係の質」を深めることができます。

一方でバッドサイクルは、「結果の質」が起点となります。成果が上がっていない状態から始まるため「関係の質」が低下→面白くないので「思考の質」「行動の質」が低下→さらに「結果の質」の悪化という循環になります。

組織として成功するためには「関係の質」を高めることが大事だそうです。

団体内だけでなく、協働の推進においても、NPOと行政という異なる立場の2つが対話によってお互いの理解を深め、関係の質を高めることでグッドサイクルが生まれるということが分かりました。

【ワークショップ:共通点探し】
NPO・行政からの参加者36名と事務局も加わり、「共通点探し」をしました。
・目で見てわかるものではなく、話さなければ分からないものを探す
・1度見つけた共通点は別の人に使えない
という条件を付けて話しをしました。

【講義:対話とコミュニケーション】

・対話の構成要素
対話は「聴く」「反映/認知する」「問う」で構成されています。配付された聴く力・問う力チェックリストに記入し近くに座った参加者同士で結果を共有しました。

・対立について
「対立は悪ではない」というお話しがありました。

対立はメンバー間の議論の幅を広げたり、お互いの理解を深められる機会になるとのことです。

対立がない組織の方が良く見えるが、環境の変化に対応できず停滞しやすいため、“健全な対立”は必要だそうです。

 

【ワークショップ:対立の解消方法】
1つしかないオレンジを取り合う2人の話を例に、対立の解消方法としてどのようなことが挙げられるのかを話し合いました。

対立の解消方法には「協調(Win-Win)」や「強制(Win-Lose)」「回避(Lose-Lose)」など、さまざまな形があります。Win-Winの合意を得るためには、相手の話をしっかりと聴き、それぞれの価値観に触れ、深く聴かないとわからない共通の価値観に立ち戻ることが大事だそうです。

【ワークショップ:自分と“協働”の距離】
「行政と市民の協働で平塚の地域課題を解決する」と書かれた用紙を中心に置き、「協働に対する気持ちは?」「現時点での協働との距離は?」などのお題ごとに移動し、自分と”協働”との位置づけを可視化しました。


▲中心に置かれた用紙を見ながら移動する参加者の皆さん

修了後、講師の長浜さんは
協働を進めていくには、そこに関わる人の想いや考えを辛抱強く聴き合う姿勢が必要ですね。」
相手を変えようとするのではなく、自分を変える。自分が変わることで相手が自分から受ける影響が変わり、そこから少しずつ関係性も変わってくることもあります。たかが対話、されど対話。もちろん、口で言うほど簡単なことではありません。でも時間はかかりますが、これが唯一の解決策であり、近道だと思います。」
と自身のSNSでおっしゃっていました。
当日のアンケートでは
[NPO]
・定期的にこのような機会を設けてほしい
・各団体が個々に取り組むだけでなく、大きな目標の為、連携して協働事業に取り組むことが社会全体の課題解決に大きな成果を生むのではないかと思う

[行政]

・団体側から、自団体の担当課が来ていないのが残念という話があったので、広く受講の募集ができると良いと思った
・「聴く」ということの大切さを感じた。聴く力を育てるところから始めていきたい

 

などの感想をいただきました。

また、今回はワークショップごとにメンバーを変えていたこともあり、「NPO・行政関係なく多くの方と会話するきっかけができ充実していた」という声もたくさん上がりました。

協働・連携に関するアンケートでは、「連携してみたいことがある」という声が多い一方で、協働・連携することは「かなり難しい/難しい」と回答も全体の半数以上を占めました。

 

その理由として

[NPO]

・関係する行政が多岐にわたり、どこと協働できるかわからない
・企画、提案を団体と行政が平等にと言っても、団体が提案して活動する割合が多く、大変

[行政]

・行政と団体の考え方や、求めるものの違いを埋めるのが難しい
・行政の人手不足により団体へ負担が偏る
・どの業務でどのような協働ができるのか分からない

 

などが挙げられた他、「お互いの力量が分からない」「同じ目的や思いを持っていても、考え方や方法をまとめていくことが難しい」という回答もありました。

複雑化していく社会課題の解決のために、対話を重ねて互いを知り、新たな協働が生まれることを願っています。

ひらつか市民活動センターでは、今後も行政や企業・大学などと市民活動団体の橋渡し役として、このような交流の機会を提供していきたいと思います。

 

2023.12.18記